◆滋賀県における外来魚対策について


滋賀県農政水産部水産課          関 慎介氏



【はじめに】
琵琶湖とその周辺では、昭和40年頃にブルーギル(すぐに大増殖した訳ではなく平成五年位から南湖で大増殖)、昭和49年に彦根市沿岸でオオクチバス(昭和54年位に琵琶湖全域へ生息拡大、昭和58年位に大増殖)が確認されました。
これら外来魚は、在来魚を捕食するため、その異常繁殖に伴い琵琶湖漁業だけでなく生態系にも大きな影響を与えています。滋賀県では、昭和60年度から本格的に外来魚対策を開始し、積極的な駆除対策や繁殖抑制対策に取り組んでいます。

【駆除対策について】
◎外来魚駆除促進対策事業漁業者によるエリや刺網、沖曳き等を利用した外来魚の捕獲駆除に対して補助(\300/1kg)を行っています(費用に関しては滋賀県と国が折半)。
〔平成25年度駆除量152トン〕。本年度(平成26年)は1/15時点で149トンの駆除量。

◎外来魚繁殖抑制対策事業
オオクチバスの稚魚(体長2cm位迄)が産卵床付近の水面を群れになって泳ぐ習性を利用し、タモ網による稚魚の捕獲を行っています(3漁協に委託)。
〔平成25年度実績717万尾(約71.7kg)〕

◎オオクチバス稚魚発生抑制事業
滋賀県は、産卵期のオオクチバス親魚を捕獲することで稚魚の発生を抑制することを目的に、平成24年度に電気ショッカーボート「雷神」、平成25年度には同「いかづち」を導入し、駆除実証事業を実施しています。
本年度(平成26年度)は過去二年に比較すると電気ショッカーボート稼働時間一時間あたりの駆除量が少なくなって来ておりオオクチバスの生息量が少なくなって来ているものと思われます。
〔平成25年度実績10.3トン〕

またこれと並行して目合の大きい刺し網を利用して電気ショッカーが効き難い冬場(12月〜2月)に南湖の六漁協に依頼しオオクチバス親魚の集中捕獲を実施しています。

◎赤野井湾における在来種復活事業
草津市の北側に位置し最近はオオバナミズキンバイという外来水草が異常繁茂して問題になっている場所です。かっては有用な漁場でした。在来種の復活の為オオクチバス等の集中的な駆除(電気ショッカーによる親魚の駆除及び発生した稚魚のタモ網による駆除)を行いそれに並行してニゴロブナやホンモロコの種苗放流を行っています。
◎外来魚回収処理事業
外来魚駆除を円滑に進める為に滋賀県漁連が行っている事業です。捕獲した外来魚をトラックで輸送し魚粉に加工して利用しています。


上記の外来魚駆除促進対策事業の漁業者による駆除量は平成25年度は152トンでしたがそれプラス電気ショッカーボートや稚魚のタモ網掬い等による駆除が約20トン程で合計約174トンになります。平成24年度迄は約年間300〜500トン程度駆除していました。平成25年度から大きく減少し本年度(平成26年度)もこのままのペースだと180トン程度の見込みです。

【外来魚推定生息量】
上記の駆除量の減少の原因の一つとして琵琶湖における外来魚の生息量は平成18年4月時点では1,914トンでしたが、平成25年4月時点では916トンと推定され減少傾向にある事が挙げられます。

他には現在の琵琶湖は水草の繁茂が著しく漁具が設置し難い事、平成25、26年度は梅雨の時期に非常に雨が少なかった為魚の動きが鈍く漁具に掛かり難かったという点が挙げられます。

新たな外来魚として新聞にも報道されたがチャネルキャットフィッシュ(平成13年に琵琶湖で初確認)が平成25年度に18尾、26年度は41尾が捕獲確認されています。瀬田川の洗堰下流では幼魚も確認しており繁殖していると思われます。生息量が少ない内に対策が必要です。

しがの農業、水産業新戦略プランとして平成27年度末までに外来魚生息量を900トンまで減少させる事を目標にしています。平成25年度4月で916トンと目標値に近づきつつありますが生息量が減少すると駆除しにくくなる事もありますので手を緩める事無く外来魚ゼロを目指し効率の良い捕獲方法や外来魚の生育状況や季節に応じた捕獲方法の検討等を行い在来魚で賑わう琵琶湖の復活をと考えております。



一般参加者の方の質問
ショッカーボートで外来魚の駆除を行う際に在来種の混獲は無いのか?

関氏のコメント
在来種も痺れて浮かんでくるが外来魚駆除が目的であるので在来種はそのままにしている。水産試験場の実験結果でも時間が経過すれば麻痺から回復しその後の成長や繁殖には影響無い事が確認されている。


琵琶湖を戻す会 高田氏の質問
平成27年度末までに外来魚生息量を900トンというのは現実味を帯びてきた話であるがその次の目標というのをお聞かせできる範囲で教えて頂きたい。

関氏のコメント
最終的に外来魚ゼロを目指しているので次期の新戦略プランではより少ない生息量が目標になると思う。次期の目標はこれから策定する。現時点では検討中である。もう少しお時間をいただきたい。

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